あやかし神社へようお参りです。②
「びっくりさせたよな、ごめんな」
一度様子を見に来た三門さんが気を利かせてすぐに出て行って、部屋にふたりきりになった。開口一番そう言った彼は苦笑いで頭の後ろを掻く。
「富岡くん……だよね」
不安げに問いかけると、彼はぶっと吹き出す。
「トミオカクン以外に誰がいるんだよ」
「だってその髪……それに、顔も」
んあ? とちょっと気の抜けた声をあげた富岡くんが自分の頬に手をやる仕草をした。けれども彼の着せられているパジャマの右袖はプラプラと揺れるだけだった。あるべきはずの右肩から右腕までが、彼にはなかったのだ。
昨日その姿を目の当たりにしていたし、三門さんからなんとなく話は聞いていた。けれどもやはり受け入れがたい光景に、思わず息を飲む。そんな私に、富岡くんは一瞬だけ頬を引っぱたかれたような傷付いた顔をした。あ、と思った時には、彼は顔を背けて目を伏せていた。
「ごめん、気持ち悪い物見せた」
肩を引いた富岡くんは声を低く謝る。私が小さく首を振ると、沈黙が流れた。思いつめたように布団の上に落ちたパジャマの袖を見つめる富岡くんに、かける言葉が出てこなかった。