あやかし神社へようお参りです。②


 「列、進んでるんですけど」

 「え、あ、ごめんなさいっ」


 慌てて前に進んでから振り返る。

 黒髪を下ろしたきりっとした目の女の子がうんざりしたように私を見ている。どこかで見たことのある顔に首を捻っていると、食堂のおばさんが私のトレーに頼んだカレーライスを置いた。直ぐにその子のトレーにもきつねうどんを置く。

 そしてあっと声をあげた。


 「篠……!」


 いつも顔を合わせるときは後ろでひとつに結っていたから気が付かなかった。お正月には一緒に授与所で働いた妖狐の篠だ。たしかに三門さんからは同い年だと聞いていた。


 「名前で呼ばないで。あと一生関わらないで」


 私を睨みつけた篠はスタスタと去っていった。ポカンとしながらその背中を見送る。

 篠は妖狐だ。妖は普通夜に活動する。それなのに昼間に活動しても大丈夫なのだろうか。

 背中が見えなくなって、やがて私も詩子を探しに動き出した。


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