しあわせ食堂の異世界ご飯4
 袋状にした紙の中にコロッケを入れれば、食べ歩きスタイルのできあがりだ。
 そっと手に持ってみると、コロッケの温かさが伝わってきた。けれど油が紙ににじむことはなく、揚げ物を持っているという感覚はない。
(魔法具で加工された紙、かなり良質じゃない?)
 魔法という付加価値がある分、もしかしたら日本で使われている揚げ物を包む紙よりも、いい仕上がりになっているかもしれないとアリアは思う。
 シャルルはひとまずコロッケ包みをふたつ作り、ひとつをカミルへ手渡した。
「それじゃあ、いただきましょう!」
「ああ! もう、さっきから食べたくて仕方なかったんだ!!」
 ふたりが同時にコロッケにかぶりつくと、ザクッと食欲をそそる音が厨房に響いた。しっかり揚がっているその音に、アリアは満足げに微笑む。
 口の中に一瞬で広がってくるのは、ぎゅっと閉じ込めた肉汁と、ジャガイモの甘さだ。でも、この甘さはそれだけではない。
「あ、玉ねぎも甘いのか!」
「なふほろ!」
「シャルル、食べ終わってから喋りなさい」
 はふはふさせながら感心するシャルルに、アリアたちは苦笑する。
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