しあわせ食堂の異世界ご飯4
「そう、可愛いパステルカラーの黄色だよね。わたし、この色大好きなの。ねえ、食べてみて。とっても美味しくて、きっと大好きになるから」
「……うん」
 女の子が卵焼きを食べるのを、全員で見つめる。どうかこの子にとって、卵焼きが『美味しい』料理でありますように、と。
 大人はストロガノフや、ちょっと早めにきてハンバーグを食べたりもしているのだが……どうしても母親と一緒にくる子供は、お昼の混雑時より少しだけ遅くなってしまう。
 そのため、ハンバーグは品切れ、メニューがカレーしか残っていないのだ。
 ストロガノフは少し辛いので、小さな子供には向いていない。カレーは辛味を抑えているが、スパイスを使っているので多少の辛さが出てしまう。
 子供のことを考えるなら、もう少し違うメニューがあってもいいかもしれない。

 カレーが嫌いなこの子は、卵焼きを気に入ってくれるだろうか。
 ドキドキした面持ちで、アリアは審判の時を待つ。もし『嫌い』と言われてしまったら、なんの料理を出したらいいだろう? そんなことを、考える。
 同時に、しあわせ食堂は子供に優しい食堂ではなかったことを自覚させられた。
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