しあわせ食堂の異世界ご飯4
 エストレーラの王族のアリアは、昼間は家庭教師をつけてずっと勉強をしていた。それ以外の時間は料理やお茶会などに当てていた。
 そのため、前世のときは家の手伝いをしていたけれど、アリアに転生してからは手伝いということはほとんどしていない。
 あるとすれば、ちょっとした公務や街の農家の収穫を手伝わせてもらい体験したことくらいだろうか。
(リベルト陛下……大丈夫なのかな)
 もうすでに工事は始まっているので、生徒が集まりませんでした……なんてことになったら、正直笑えない。
 どうか無事に事業が進みますようにと、アリアは心の中で祈るのだった。
 しあわせ食堂もそろそろ閉店というころに、見知った顔が客としてやってきた。
 カランとドアベルを鳴らして入ってきたのは、リズとライナスのふたりだ。
 ライナスが以前、アリアに食べに行きますと言っていた約束を果たしにきてくれたようだ。
「アリアお姉さま! 今日は、お父さまとご一緒しました」
 店内にいたアリアを見つけたリズが、嬉しそうに抱きついてきた。えへへとはにかむように、「お腹ぺこぺこなんです!」と笑う。
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