しあわせ食堂の異世界ご飯4
 うっかりしたことに、リントは定休日だということを失念していたのだ。
 しかし本人に会えるならいいだろうと訪ねてみたが、出てきたのはエマ。アリアはシャルルとふたりで市場へ行ったということを教えてもらい……今にいたる。
「しらすの人気に火がつくのは嬉しいが、さすがはアリアというべきか……」
 あれでは火がつくというよりも、タチの悪い山火事のようだ。
 ほんの少しだけ店主を哀れに思いつつも、間違いなく売上は伸びるので頑張ってほしいとも思う。
 見続けていると、しらす『単品』ではなくしらす『丼』が食べたいのだと全員が主張している。家に帰って米を炊く時間すらおしいのかもしれない。
 店主は「あーもう!」と叫び声をあげて、大声でわかったと告げた。
「すぐに軽食販売の手続きをしてくるから、待ってやがれ!」
「おおおぉぉぉっ!」
 宣言のあと、一気に周囲が沸きあがった。
 店主は手続きのために露店から離れ、その間にアリアとシャルルが店番をするようだ。おそらく、この後も手伝うのだろう。
「しばらく、アリアはしらす露店から離れられそうにはないな……」
 リントは苦笑して、ひとまず市場から立ち去った。

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