しあわせ食堂の異世界ご飯5
 もしかしたら、リズベットに『お父さまなんて嫌い!』と言われて口をきいてもらえなくなってしまうかもしれない。
 そんなことは絶対に嫌だ。しかしリズベットがリベルトに嫁ぐのだって同じくらい嫌なのだ。
 こんなに最悪な二択を迫られたのは生まれて初めてだと、ライナスの目は遠くなっていく。
 ああ、ライナス様から生気が消えていく……ルシオはそう思いながらも、どうすることもできない。
 仕方ないのだ。自分たちはライナスが皇帝になるために今まで動いてきたし、それが政権争いに必要なのだから。
 塵になりそうなライナスから目を逸らして、ルシオはもう一度校庭にいるリズベットに視線を向ける。
 ――あ。
「……リベルト陛下がお嬢様の頭を撫でましたよ」
 ルシオのひと言で、今度こそライナスは塵となった――。

 ***

 同時刻、ライナスとルシオが見ていた校庭では、リント、ローレンツ、リズの三人が楽しそうに鍛錬の見学をしているところだった。
「わぁ……みんなわたしと同い年か少し上なだけなのに、すごいです」
 リズは興味深そうに周囲を見回している。
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