執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~

「今日の外回りは終わったので、定時まで事務作業をするつもりですが」
「じゃあ終わったら食事に行こう」
「え?」
「今日は金曜だろ。なにか用事ある?」
「いえ……」
「じゃあ、あとで連絡する」

 私がぽかんとしている間にそう言い残し去っていく。
 背の高い後ろ姿を眺めながら立ち尽くしていると、ポケットの中のスマホが小さく震えた。

 見れば雅文からのメッセージだった。

【あとでまた連絡するから、この番号ちゃんと登録しておいて】という短い一文。

 新たに登録するまでもなく、私の連絡帳の中にはちゃんと雅文の番号が残っていた。三年前に別れたというのに、この番号を消せずにいたから。

 自分の未練がましさにうんざりしてため息をついた。


< 106 / 283 >

この作品をシェア

pagetop