執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
見ればさきほどまで雅文がいた上座で、拗ねた様子で唇をとがらせる女性社員たち。
とたんに隣にいた大山小山コンビが鼻息を荒くする。
「知らねぇよ。寂しいからなんだっていうんだ」
「寂しいなら勝手に帰れ!」
酔っぱらいの戦闘モードになった彼女たちをなだめながら、胃のあたりが痛くなってきた。
「広瀬さん、具合悪いですか?」
雅文を挟んだ場所に座っていた谷村くんにそう声をかけられ、そんなに暗い顔をしていたかなと苦笑いする。
「別に、大丈夫だよ」
雅文と谷村くんの視線を感じながら、「ちょっとトイレに行ってくる」と適当な言い訳をしながら立ち上がった。
会場の個室をそっと抜け出し、トイレではなく出口に向かう。
立ち上がるときにこっそり荷物を持ってきたから、このまま帰ってしまおうと決めた。
大山さんあてに【ちょっと飲みすぎたみたいだから、先に抜けるね】とメッセージを送ると、スマホをポケットに入れ夜の街を歩き出す。