執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~

「ね。雅文がアメリカ赴任するって噂を聞いたんだけど、本当?」

 思い切って私がその話題を出すと、雅文は驚いたように動きをとめた。

「なにその噂」
「みんな話してるよ。雅文がアメリカ進出の責任者になって、無期限で赴任するって」

 勇気をだしてたずねると、雅文は「内示もでてないのにそんな噂が流れるのは、問題だな」と苦笑いした。

 内示が出ていないってことは、やっぱりただの噂なんだよね。
 私はほっとして胸をなでろす。

 すると、長い腕がのびてきて後ろからぎゅっと抱きしめられた。

 私のつむじに顎をのせた雅文が、なにか思い悩むように少しの間黙り込む。
 テレビからはアメリカ映画の陽気な音楽が流れているのに、なんだか部屋の中が急に静かになった気がした。

「まどか……」

私を呼んだその声は、いつもより少し低いような気がして「なに?」と身をよじって雅文を振り返る。


< 193 / 283 >

この作品をシェア

pagetop