執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「ね。雅文がアメリカ赴任するって噂を聞いたんだけど、本当?」
思い切って私がその話題を出すと、雅文は驚いたように動きをとめた。
「なにその噂」
「みんな話してるよ。雅文がアメリカ進出の責任者になって、無期限で赴任するって」
勇気をだしてたずねると、雅文は「内示もでてないのにそんな噂が流れるのは、問題だな」と苦笑いした。
内示が出ていないってことは、やっぱりただの噂なんだよね。
私はほっとして胸をなでろす。
すると、長い腕がのびてきて後ろからぎゅっと抱きしめられた。
私のつむじに顎をのせた雅文が、なにか思い悩むように少しの間黙り込む。
テレビからはアメリカ映画の陽気な音楽が流れているのに、なんだか部屋の中が急に静かになった気がした。
「まどか……」
私を呼んだその声は、いつもより少し低いような気がして「なに?」と身をよじって雅文を振り返る。