執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「恋人の男のところに行くのか?」
低い声で問われ、驚いて目を見開く。電話の相手も内容も知らない雅文は、勘違いをしているようだ。
雅文は掴んだ腕を引き寄せ、私を胸の中に閉じ込める。
「恋人なんかじゃなくて、友達が……」
「そんな嘘をついてまで、俺から逃げ出したい?」
「う、嘘じゃないってば」
「情けないくらい必死になってまどかを追いかけて。ようやく腕の中に捕まえたと思った途端、二度も逃げられておきざりにされる俺の気持ちがわかるか? もう、お前がほかの男のところに行くのを、指をくわえて見てるつもりはない」
きついくらい私の体を抱きしめながら、いつもクールでスマートな雅文が独占欲をむき出しにして声をあらげる。
その必死さに胸がきゅんと苦しくなる。
けれど、耳の奥に朋美の取り乱した声が甦って、私は雅文の胸を押し返した。
「本当に友達の様子がおかしくて、心配だから」
私が説明しようとしても腕をゆるめる気配はなく、じっとりと疑いをふくんだ視線を向けられる。
どうしていいかわからなくて私が口をつぐんでいると、雅文はため息を吐き出した。
「……わかった。じゃあついていく」
雅文の予想外の提案に、私は目をまたたかせる。
「え?」
「急いでるんだろ。俺が車を出すから」
勝手にそう決めて、雅文は床に落ちていた服を拾った。