執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~


 数日後、私が出社すると社内がざわついていた。

 どうしたんだろうと思いながらフロアに入ると、私に気付いた大山さんが「広瀬さん、大変ですよ」と声をかけてきた。

「なにがあったの?」
「極秘で計画していた新店舗のデザイン案が、外部に流出したみたいで……」
「新店舗って!」

 まさか、雅文が進めていた郊外型の店舗? 私は驚いて目を見開く。

「ライバル社のトーワカフェが、うちが計画していたものと全く同じコンセプトの新店舗を出すと大々的にリリースしたらしいです」

 よりによってトーワカフェ。
 話を聞いた私は口を手で覆った。
 以前から、うちの新商品と同じような商品をかぶせるように発売していたカフェチェーンだ。

 でも社内でもまだ非公開だった情報を、いったいどこから手に入れたんだろう。

「今上層部が集まって会議をしてますよ。トーワカフェはうちの真似ばかりしていたから、内通者がいるんじゃないかって考えてるみたいです。犯人探しがはじまりそうですよね」

 不穏な事態に顔をしかめる。社員の中にライバル社に情報を流すような裏切り者がいるなんて考えたくない。
 そう思っていると、「広瀬」と後ろから声をかけられた。
 ふりむくと、田端くんがこちらに歩いて来るところだった。

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