執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「以前から、リリース前の新製品の情報をトーワカフェに漏らしていたのは、田端くんなの?」
「そうだよ。このまま伊野瀬コーポレーションにいたって、俺は瀧内の上には行けない。あいつの下で一生働くくらいなら、ライバル社に情報を流してこの会社をつぶした方がましだ。トーワカフェにはちゃんと恩を売ってあるから、こっちの会社が傾いたら俺を重役としてむかえ入れてくれるって約束もしてある」
「どうしてそんな身勝手なことができるの!?」
一緒に働いている仲間たちの姿を見ているのに、そんなくだらない理由で機密情報を流すなんて。
田端くんに対して怒りがこみあげてくる。
「だって瀧内はアメリカ進出の責任者に抜擢されて、御曹司だってことも公表されて、涼しい顔で俺を出し抜いて。そんなの、腹が立って仕方ないだろ? アメリカで失敗すればいいと思っていたのに軽々大成功させて正式な後継者として本社に戻ってきたせいで、俺はますます立場がなくなった。全部、あいつのせいで」
「それは、雅文のせいじゃなくて自業自得でしょ?」
震える声でそう言うと、田端くんは「はぁ?」とよどんだ瞳でこちらを睨んだ。
「自業自得?」
「雅文の成功は、彼がとことん努力した結果だよ。でも田端くんは人をうらやんで足を引っ張ろうとするだけで、少しも自分が成長しようとしていないじゃない」