執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
そう言われた田端くんは、噛みつくようにするどい視線で雅文を見上げる。
「なんで俺ばっかりこんな目に合わないといけないんだよ! 親父に命令されて会社に入ってやりたくもない仕事をして、お前に出し抜かれて惨めな思いをして。俺はなにも悪くないのに!」
「そうやってすべてを他人のせいにして、なにも努力してこなかった自分が悪いんだろ」
容赦なく切り捨てるような雅文の言葉に、田端くんがぐっと唇をかんだ。
「でも、よかったな。これでお前はやりたくもない仕事をしなくてすむ」
「……どういう意味だよ」
「今回の情報漏洩は会社に不利益をもたらす明らかな背任行為だ。懲戒解雇はまぬがれない。それだけのことをしたんだから、覚悟はできてるな?」
そう言われた田端くんは一気に青ざめる。すべての不満を他人のせいにし続けてきた彼は、自分がしでかしたことの責任なんて考えもしなかったようだ。
「そ、そんなの親父に言って謝れば、なんとか許してもらえるだろ……」
「専務は以前からお前の勤務態度に不満を持っていた。それでもこらえて様子を見ていたようだったが、今回のことで完全に失望したと言っていたよ」
「じゃあ俺は、本当にクビに……?」
「この会社に入ったのも、専務の息子として見られるのも不満だったんだろ? これからは自分の意志で選択して、自分で責任を取って生きろ。ライバル社に情報をもらすような自分勝手で短絡的なお前を社員にしたいと思う物好きな会社があればいいけどな」
雅文が冷たい声で言うと、田端くんは唇をきつくかんだ。
そして無言のまま車に乗り込みその場を去っていった。