執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「じゃあ、どうして別れようなんて言ったんだ」
「田端くんに言われたの。雅文が御曹司だってことを教えてくれなかったのは、私がただの遊びだからだって。だまされて愛されてると思い込んでいる私を、雅文は裏で馬鹿にして笑ってるって言われて。すごくショックで、捨てられるくらいなら自分から別れようと思って……」
「田端がそんなことを?」
私の言葉を聞いた雅文は、顔をしかめて低くつぶやく。
「あいつがそんな言葉でまどかを傷つけたって知っていたら、一発じゃなくもっと殴ってやったのに」
その迫力に雅文が本当に怒っているのが伝わってきて、私はあわてて首を横に振る。
「でも、田端くんのせいだけじゃなく、臆病な私が悪いの」
そんな話をしているうちに信号は青に変わり、雅文は車を発進させた。
私は雅文の横顔を眺めながら続ける。
「私が小学生のときに父が家を出て行って、私たち家族は捨てられたの。そのときのショックが忘れられなくて、また大切な人に捨てられるのが怖くて……。信じるよりも逃げることを選んでしまった私が悪かったんだって、今はすごく後悔してる。本当にごめんなさい」