執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「……俺がいない間に、悔しいくらい綺麗になった」
その言葉に驚いて目を見開くと、雅文は手に持っていた私のパンプスを無造作に放り出す。
ベージュピンクのパンプスは柔らかなカーペットの上に落ちて力なく転がった。
床の上で倒れたそのパンプスを見下ろしていると、ぎしりとスプリングが軋み視界がなにかに遮られた。
それが雅文の体だと気づいたときには、もう唇が重なっていた。
「ん……っ」
偶然再会した昔の恋人を酔った勢いでホテルに連れ込むなんて、どうせ欲望を発散させるためだけの道具のように扱われるんだろうと思っていたのに、雅文のキスは驚くくらい優しかった。
唇をいつくしむようについばまれ、一瞬離れては角度を変えてまた重なる。
お互いの気持ちを確かめ体温を分かち合うような甘いキスに、幸せだった三年前を思い出して勘違いしそうになる。
「まどか」
耳に馴染む低く艶のある声で名前を呼ばれ、心の中の天秤の針が『好き』と『嫌い』の間で激しく揺れた。