執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「カプチーノでいい?」
「はい」
きょとんとする彼女に、おいでと手招きをしてエスプレッソマシンの前に立つ。
「私も最初はドリンクを作るの緊張したなぁ。急がなきゃって思うあまりひとつひとつの手順が雑になったりして」
そう言いながら、グラインダーで挽いた豆をマシンのホルダーに入れ平らにならし、タンパーという器具でグッと圧力をかけ押し固める。
「でも出来上がったドリンクを手渡したお客様が、ぱぁって笑顔になる瞬間を見ているうちに気付いたの。五秒、十秒、早く提供するよりも、ひとつひとつに心を込めてお出しする方がずっと大事だって」
ホルダーの周りについた粉を丁寧にぬぐいマシンにセットしてボタンを押すと、加圧された熱湯が通過していき、温めてあった白磁のカップにはちみつのように粘度のある濃褐色の抽出液が滑らかに滴り落ちた。
その間にステンレスのピッチャー入ったミルクをスチームノズルできめ細かく泡立てていく。
そしてクレマと呼ばれる黄金色の濃密な泡で覆われたエスプレッソの上に、ふわふわのミルクを注ぐ。