執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~
「なに?」
「なんでもない」
すっとぼけて首を横に振る。
そんな私に向かって雅文は「ありがとうな」とにこりと笑った。
「青山さんが辞めるのを引き留めるどころか、やる気をださせるなんて。さすが広瀬」
「さすがなんて。瀧内くんは口がうまいね」
照れくさくてそう言うと、雅文は穏やかに目を細める。
「本心だよ。同期の中でも広瀬は気が利くしフットワークは軽いし、仕事ができるってみんな言ってる」
「まぁ、みんなのオカンですから」
私が肩を上げると、「そのオカンって、なに?」とたずねられた。
「私、歳の離れた双子の弟がいるの。仕事で忙しい母を少しでも助けたくて、学生時代はやんちゃで手のかかる弟たちのお世話をしていたから、自然と所帯じみてお母さんみたいになっちゃって。いつの間にかみんなにオカンって呼ばれるようになってた」