執着求愛~一途な御曹司の滴る独占欲~

「もし田端と付き合えば、玉の輿にのれるかもしれないだろ」
「田端くんのお父さんは専務でお金持ちかもしれないけど、田端くんは田端くん。ただの同僚のひとりだよ。お金目当てで付き合うなんてありえないし」

 私がそう言うと、雅文の視線が柔らかくなった。「そっか」とどこか優しい口調でつぶやく。

「それに、付き合うなら普通の優しい人がいいな。お金持ちやかっこいい人は、浮気をしそうで心配だから」

 そう考えてしまうのは、父に捨てられた経験があるから。父は仕事ができて外見も整っていて、女性からモテる人だった。

私が父のことを思い出し表情をくもらせると、雅文が「そういえば」と思い出したように口を開いた。

「リーフレットを欲しがってたバイトのスタッフって、男?」

 ぶっきらぼうにたずねられ、私は首を左右に振る。

「いや。女の子。内藤店長のところの大学生の青山さん」

 そう説明すると、雅文はほっとしたように大きなため息をついた。

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