First Snow

無意識だったと思う。

なんとなく聞き覚えのある声だな…なんて、

さっきまでちゃんと覚えていたはずなのにまたすっかり忘れてしまっていたんだ。


横にいる男の人を見上げると、あの男が私を見下ろしていた。


「………っ!!!」


ビックリしすぎて悲鳴にならない声をあげ思わず後退り。


「お待たせいたしましたサングリアでございます…」


目の前に差し出されたグラス二つ。

素早く自分の分だけ持って席に戻ろうとしたら、あろうことかその男は私のグラスまで持ち「一緒に持っていく」と言い出したのだ。

我に返って男の持つグラスに手を伸ばす。



「結構です!!それ返して下さい!」

「…こんなところで騒ぎ立てるの?」


「あなたが…返してくれればいいだけの話なんだけど…」

「楽しいウェディングパーティーなんだから、ちょっとだけ話そう」


席あっちだったよね、って言いながら颯爽と前を歩くその男。

私は話すことなんて、もうない。



参加してないだろう…なんて淡い期待も虚しく再び出会ってしまった。

お酒のせいなのか、それともその男を見つけた瞬間の驚きなのか…脈打つ鼓動は収まることをしらない。



高校時代に付き合っていた元彼と数年ぶりにこんな形で再開してしまうなんて、今日は一体どうなっているんだ。


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