【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
ど緊張の中、駆くんの腕になんとか貼れた絆創膏。


「……できたよ」


「ありがと」


――ちゅ。

って当たり前みたいにキスしないで!


「ちょっと……ここ外だよ……?」


「だからなに?」


「もう……」


思わず当たりを見回すけど、ひとけはないようで、ほっとした。


その時、頬の熱を冷ますように柔らかな風が吹き渡った。


「あ」


テーブルに置きっぱなしにしていたビニール袋が風にさらわれて、捲き上る。


地面に降り立ち、かさかさと音を立てて風に這わされる袋。


青空を映した水たまりをまたいだ駆くんは、袋のんびりと拾い上げてからあたしを振り向いた。


ふわぁっと吹き抜ける風に、駆くんの黒髪がゆれて、太陽がきらきらと彼を包むような幻想的光景。
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