【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
……はじめて、駆くんを見たときみたい。
あたしの目はあっという間に彼のとりこ。
その腕に視線を落とせば、絆創膏が三枚並んでいて。
傷をつくってあたしを助けてくれて、傷なんてどってことないみたいに笑って。
……男の子。すっごく、男子。
駆くんは、男らしくて本当に頼もしいひとだと思う。
「今宵、映画館行こーぜ」
「うん……!」
この人が、彼氏。
幸せいっぱいの気持ちで、差し伸ばされた手のひらを掴んだ。
「今宵のさっき買った本の一巻、やっぱ読んでみたいかも。今度貸して」
「うん。今度持ってくるね」
初めての彼氏、初めての好きな人。
あたしは幸せと緊張と、とにかく浮き立つ気持ちでいっぱいいっぱいだった。
……だから。
――『本気にならないほうがいいよ』
何度かもらったその忠告は、いつのまにか頭のすみっこにでも追いやってしまっていたんだと思う。
あたしの目はあっという間に彼のとりこ。
その腕に視線を落とせば、絆創膏が三枚並んでいて。
傷をつくってあたしを助けてくれて、傷なんてどってことないみたいに笑って。
……男の子。すっごく、男子。
駆くんは、男らしくて本当に頼もしいひとだと思う。
「今宵、映画館行こーぜ」
「うん……!」
この人が、彼氏。
幸せいっぱいの気持ちで、差し伸ばされた手のひらを掴んだ。
「今宵のさっき買った本の一巻、やっぱ読んでみたいかも。今度貸して」
「うん。今度持ってくるね」
初めての彼氏、初めての好きな人。
あたしは幸せと緊張と、とにかく浮き立つ気持ちでいっぱいいっぱいだった。
……だから。
――『本気にならないほうがいいよ』
何度かもらったその忠告は、いつのまにか頭のすみっこにでも追いやってしまっていたんだと思う。