【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
だれもいない屋上で弁当を開いて、今宵と並んで食べている。


音羽の話は、あえて黙っとくから。

そんな運命っぽい話、誰が言うか。


「え? テスト勉強?」

「うん、今宵勉強してる?」

「してるよ。駆くん、もしかしてまだ……」


「まさか来週とは思わなくて」


「来週って……いうより、あと3日って言った方がいいと思う……」


今宵は大きな目を見開いて、「まさか」という表情を俺に向けている。


その顔、かわいいんだけど。


「あと俺、さぼりすぎてあと一回さぼったら補習だって」


「駆くん……素行不良すぎるんじゃないの?」


心配そうに眉を下げるその顔も、めちゃくちゃツボなんですけど。


「ま、なんとかなるだろ」


今宵は未だ信じられないものを見るような目で俺を見つめたまま唖然としている。


ミートボールを箸で摘まんで、フリーズ?


油断してんね。


「……もーらい」


がぶっとミートボールにかじりつく。

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