【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
「あ」

「うま」


にやりと笑うと、今宵はいつも通り慌てて。


「もう……!」


と顔を赤らめる。


「かわい……」


思わずつぶやいた声は、いまの今宵には届いていないらしい。



「今宵は勉強できる方?」


「え……ううん。普通、というか聖女に落ちるくらいの学力」


「聖女ってモチが行った高校だろ? めちゃくちゃ賢いじゃん」


「うん……でも制服可愛くて。女子高だし……まろやんと一緒にいくはずだったのに」


「こんな共学来たくなかったって?」


言うねえ、今宵ちゃん。


肩をだいて、今宵を見下ろす。


すっぽり収まるこじんまりした体。
低めの二つ結びが風に揺れる。


「そんなこと言ってないよ……!」


「俺と会えてよかっただろ」


「……うん」


「言わされてんなよ」


どんだけ流されんの。

頭にちゅっとキスを落とすと、女の子らしい花の香りがした。


「ほ、本当だよ」


たよりないほど弱弱しい声とともに俺の体を押しやって、今宵は俺を見上げる。


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