【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
化粧っけのない顔。

長いまつげがくりんと上を向き、大きな目が俺を見ている。


うっとり、みたいな。


その上目遣いは、計算なんかじゃなくて。


……天然小悪魔。


その単語がすとんと落ちてくる。


「……本当。駆くんと付き合えてること、夢みたいなの」


可愛らしい澄んだ声が追い打ちをかける。


「あっそ……」


俺はフイっとよそを向いて、なんかたまんなくて。


今宵を抱きしめた。



「んっ」


俺の胸に顔を押し付けられて暴れる今宵ね。


「……ぷはっ、苦しいよ、もぉ……」


「だって、なんか刺さっちゃったから」


「なに……それ?」


……お前が可愛くてどうしようもないってこと。

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