【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。

「してないよ……離して」

「絶対やだ」


廊下に人、こんなにいっぱいいるのに……。
ルイちゃんも、音羽くんもみてるよ!?
駆くん、信じられない……。


「……今宵は俺の世界にだけ住んでろよ」


だから……耳元で言わないで……。


真っ赤になっていくのが恥ずかしくて、下唇をかみしめてうつむくあたしに。


音羽くんは手を差し伸べた。


と思ったら、駆くんの腕を振り払ってしまった。


「衣川さん、困ってるでしょ」


静かな声。
音羽くんは駆くんを冷ややかな目で見てから、あたしに視線を落とした。



「衣川さん、好きって……ただドキドキすることとは違うと思うよ」


そう言って音羽くんは去っていった。

どういう、意味?

首を傾げていると、駆くんは「うっざー」と舌を出した。


……その顔、すきかも。

なんて思った自分を恥じたとき、

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