【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。

「部活時間外でも使えるのかな」



ガス閉められたりしてないかな。


「使えんじゃねーの?」


「あれ? 水が出ない」


「えー?」



シャワー室にふたりで入って、駆くんが蛇口を回した。



「本当だ、でないな。隣は出るかな」



そう言って駆くんがこのシャワー室を出て行こうとしたとき。



――ジャー、と遅れて水が出てきた。



「きゃあー!!」



叫びながら蛇口を動かすけど、なかなか止まってくれない。



「そっちじゃねーよ! こっち」



後ろから伸びた駆くんの手はきゅっと蛇口を強く閉めた。



頭からずぶ濡れになったあたし。



体操着の裾から、黒い水がポタンポタンと足元に(したた)り落ちる。


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