【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
「こいつ誰?」


笑ってる口元とは反して、不機嫌な声色。



「隣の席の……音羽くん」



「あぁ、もしかして衣川さんの彼氏?」



「そう。つまり今宵に触っていいのは俺だけってこと。意味わかる?」


「へぇ……。でも君って本当に衣川さんのこと好きなの?衣川さんも」



……え?
と思わず、駆くんを見上げる。



「はぁ?なんで」




「……俺だったら大事な彼女に、そんなわかりやすいキスマークつけないなぁって」



三人しかいない教室がしんっとした。


私の心臓がドキドキしているのは、
駆くんが何も言い返さないから。



それって、


「図星……?」




あれ?
なんでそれが、こんなに寂しいんだろう。


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