【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
「え?」


知ってる?
……どうして?


「本当は体育館に行きたいんでしょ?さっき彼氏と話してるところ、偶然聞いたよ」


音羽くんはくすっと笑った。


「でもサボる勇気がなくて、そわそわしながら百面相してたよね」


「う……」


すべてお見通しのようで恥ずかしい。


「体育館行きたいの?」


「うん」


「体育の先生にバレると思うよ?」


「そうなんだけど……でも」


そしたら駆くんが守ってくれるって……。


「彼氏が守ってくれるんだっけ?」


「え」


「だけど……授業中の彼氏が衣川さんのことどうやって守るんだろうね」


「……たしかに」


急に不安になったあたしを見透かしたように、音羽くんは口角を上げる。


「心配する必要ないよ。俺が守ってあげる」


「え?」


「行きたいんでしょ?」


にこりとほほ笑む音羽くん。
すごく親切なひと……。


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