【完】俺様彼氏は、甘く噛みつく。
音羽くんは体育館のギャラリーにつながる裏道を教えてくれた。


「ね。ここから行けばバレないでしょ?」


音羽くんとギャラリーに上る。
ギャラリーの正面部分はダンス部がたまに練習場所にしてるくらい、意外と広い。


「……すごい、よく見える」


ひょこんと顔を出して、すぐに隠れるを繰り返しながら、バスケットコートを見下ろし、駆くんを探す。



「……いた」


ピンク色のピンをつけてるのがすっごくかわいい……。


――ピッ!


ホイッスルが鳴って、試合が再開した。


ボールをつく生徒の前で駆くんは一瞬、相手に余裕ありげな笑みを見せた。


余裕綽々。

まさにそんな感じで、あっさりとボールをうばって、風のように相手チームを横切っていく。

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