COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

でも、彼女が声を漏らす度。

切ない声で“彼”の名前を呼ぶ度に、心が悲鳴を上げるように痛んだ。


“「僕の名前を呼んで」”

“「僕だけを見て」”


ーーーーー“「あなたが好きです」”

喉まで出かかる言葉を、何度も何度も飲み込んだ。


そんな僕に少しも気付かない彼女は
世界で一番、残酷なヒロインだ。


それでも僕は。


営業部の扉の前、スマートフォンを取り出す。
表示された彼女の名前に触れる。

それだけで心臓を掴まれたように切ない痛みが走った。
チャット画面に新しいメッセージを打っていく。


《今日、会えますか?》


僕は祈るような気持ちで送信ボタンを押した。


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*CAFE MACCHIATO
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