COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
CAFE MACCHIATO

*CAFE MACCHIATO《昭香》


誰もいない休憩スペースで一人、缶コーヒーを(あお)ると手にしたスマートフォンに目を落とす。

画面に表示されたそれを見ては、心に芽生えた罪悪感は水を得て育っていく。

小さくため息を吐き出して、部屋の隅にある観葉植物を眺めた。


あれから楓とは会っていない。

彼から定期的に届くメッセージにも、返事ができずにいた。

「あぁーーー…」

目を閉じると、また彼のあの日の言葉が頭をもたげた。

このままではいけないこともわかっている。
彼にちゃんと伝えないと。

もう二人で会うことはできないこと。
もちろん、“そういうこと”をすることも。

目を開けると、腕時計に目を落とす。

そろそろ戻ろうと、椅子から腰を上げると入り口のそばにあるごみ箱へ足を向けた。
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