COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
BLACK COFFEE
*BLACK COFFEE 《優香》
毎朝のコーヒータイム。
今日は午後から雨が降るらしく、少しだけ湿気を含んだ空気が
コーヒー豆の香ばしい香りをより一層引き立てているようだった。
目の前に座る昭香先輩にふと目を向ける。
彼女の美しいアーモンドアイが笑う。
その様子は至って元気とも取れるけれど、ふとした時に感じる違和感。
その正体が何なのか私はずっと気になっていた。
それを聞いたところで、彼女は答えてくれないかもしれない。
けれど、少しでも元気になってもらえたら。
気付いてくれている人がいるとわかってもらえたら。
ここ最近はやっと忙しさもひと段落してきたのもあり、私は意を決して彼女を誘うことにした。
「あの、昭香先輩」
『ん?どうした?』
「週末、あの…空いてますか?」
私の突然の誘いに、彼女はその大きな目を更に丸くした。
「…もしよかったら家に遊びに来ませんか?」
こうして誰かを誘ったりするのは、正直言って慣れていない。
にしても我ながら、ぎこちなさ過ぎるとは思う。