COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
『ありがとうございました!』
すぐ隣で扉に取り付けられたベルが鳴ると、春田くんの明るい声が店内に響いた。
その声に現実に引き戻されると、彼がこちらを見た。
『さてと!今日は何にします?』
「あの…今日はオードブルの注文に来たの。
週末にホームパーティーをするから…」
『そうなんですね!
どんなのがいいですかねー』
そう言いながら小走りでカウンターの中へ入っていくと、何かを探している。
至って自然な彼の様子に、思わずその顔を凝視した。
『あー!あったあった!
っと…』
カウンター越しにばちりと目が合うと、彼はそのまま固まってしまった。
『…そんな、警戒しないでくださいよ。
大丈夫です、返事を急かしたりなんてしませんから』
彼は眉を下げて少し寂しそうに笑った。