COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
違う。
そんな顔をさせたかったわけじゃないのに。
「あ…」
『はい!これ!オードブルの注文票です!』
否定の言葉が口から出る前に、彼の明るい声がそれを遮った。
私は彼の笑顔に押されるように、カウンターの上に差し出されたそれを覗き込む。
『人数は何人ですか?』
「4人…」
『じゃあこれがおすすめです!おかず7種にスープとパンが付きます。
もちろんおかずの量もいつものお弁当よりも多く入っていますので』
じゃあそれで、とオーダーを告げると彼はにこりと笑った。
『ありがとうございます!お酒はー、呑みますか?』
「え?」
『もし当日お酒を呑まれるなら、お酒に合う料理をご用意しますよ』
そういえば昭香先輩がワインを持ってくると言っていたことを思い出し、それを告げる。