COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
「…私、」
『いつもそうです』
『俺がどれだけ気持ちを抑え込もうと頑張ったって無駄だって
本郷さんを目の前にすると、こうやっていつも思い知らされるんです』
私の目をまっすぐに見つめる、その瞳が切なげに揺れる。
『気持ちを殺そうと努力をしたって、
本郷さんの姿を見ただけで、それも一瞬で水の泡になる』
気付くと、私の足は動いていた。
もう逃げたりしない。
この心は彼のことが好きだと叫んでいる。
彼がいればきっと、過去の亡霊にも立ち向かっていけるはず。
カウンターを沿うように歩くと、カウンターの中へと通じる背の低い仕切りを押した。
『え、ちょっと…待って、
本郷さんストップ…!!』
そう言って視線を逸らした彼の前に立つ。
「私…春田くんのことが、好き」