COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―


幸せ。

過去に置き去りにしたその気持ちを、私は彼の胸の中ではっきりと感じていた。
ああ、私、幸せなんだ。

彼の背中に回した腕にぎゅっと力を込める。

その時、私の頭上から彼の、少しだけ上擦った声が私の名を呼んだ。

『あの…

本郷さん…』

「…ん?」

顔だけを動かして彼を見上げると、彼は顔を真っ赤にして苦し気な顔をしている。

『俺からしておいて何なんですが…、

今日はもう…このへんで勘弁してください』

つい衝動的に行動してしまったけれど、よく考えればついさっき好きだと告白したばかりだ。
もしかしてやりすぎてしまったのかもしれない。

「あの…っ!ごめん」

私はすぐさま体を引いたが、彼の手は私の腰にがっちりと回されたままだ。
彼の真意が読めず、じっと顔を見つめると、それに気付いた彼が口を開いた。
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