COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

*

『今日は突然誘ったのに、本当にありがとうございます』

「いや、全然。特に予定もなかったしね!」

駅ビルを出ると、賑わう駅の中を並んで歩く。
ガヤガヤとした構内はやり取りする声も自然と大きくなる。

『上半期も達成するんで、見ててください』

「お!さすがだね」

他愛ないやり取りに緊張はいつの間にか解けて、自然に笑えている事に気付く。

改札の前に着くと、どちらからともなく足を止めた。

『…この先も、昭香さんは僕の大事な先輩なのは変わらないですから』

振り返った彼は優しく微笑むと、少し照れくさそうに言った。

「もちろん。私だって大事な後輩だと思ってる」

心地の良い、どこか懐かしいこの距離感に心が安らぐ。
彼とまたこんな風に普通の会話が出来ることが、とても嬉しく感じた。
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