COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
『帰り、気を付けてくださいね』
「ありがと!また会社でね」
彼に手を振り、改札を抜ける。
エスカレーターに乗る直前に、もう一度後ろを振り返る。
楓はもう一度だけ手を挙げてこちらに向かって手を振った。
その姿に思わず立ち止まる。
彼がおかしいわけではないのに、その姿にどこか違和感を感じる。
その考えを振り払うように笑顔を繕うと、短く手を振り返すとエスカレーターに乗った。
エスカレーターが上へと登り始めると、電車が到着するアナウンスとあの音楽が流れ始める。