COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
『二人とも、すごく仲良しねぇ♪』
気付けばすぐ傍にお茶の乗ったトレーを手にした花緒先輩が立っていた。
相変わらずの花のような美しい笑顔で微笑んでいる。
あまりの恥ずかしさに彼の手からコンテナを奪い取ると、小上がりまで早足で運ぶ。
理央の冷やかしをスルーしながら手早くお弁当を配膳すると、コンテナを手に彼の元へ戻った。
「…はい、これ」
『あの、すみません…!そんなつもりじゃなかったんですけど』
彼は明らかに焦った様子で、私の顔色を伺うように顔を覗き込む。
「大丈夫。
……嬉しいから」
小声でそう告げると、彼ははにかむのを押し殺すように下唇を小さく噛んだ。
『また、連絡しますね』
彼は少しだけ屈んで私にそう呟くと、丁寧に挨拶をしてオフィスを出ていった。
その姿を見送り、テーブルへ向かおうとしたその時、昭香先輩が席から立ち上がる。