COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
その目を見れば、ちゃんと僕を想ってくれているのだとわかる。
当たり前のことだと言われればそうなのかもしれない。
けれどただそれだけで嬉しくて堪らなくなる。
付き合う前と変わらない。俺の気持ちはいつもこうして彼女の元へ引き戻されるんだ。
彼女をちらりと振り返ると、その目と視線が交わる。
「あ、それで今日なんですけど、余っちゃいそうだったので一緒にご飯でもどうかなって。
あ、もちろんお代は結構ですので」
『そういうわけにはいかないよ』
彼女はその大きな目を丸くすると、遠慮するように顔の前で手を振った。
「本当に大丈夫ですから」
そういう所に律儀な事も充分に知っているが、今日はお客さんではなく、俺の彼女として俺の料理を食べて欲しい、そう思っての事だ。
けれどその言葉をきっかけに、彼女と払う払わないのやり取りは始まってしまった。
徐々にヒートアップしていく上に、彼女はどんどん頑固になっていく。
「待って!ストップ!!」
どんどん怪しくなっていく雲行きに、咄嗟に彼女の目の前に手をかざす。