COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

彼女は再び目を丸くした後、こちらをじっと見上げた。

「いや…、すみません。
僕の言い方がまずかったです。要するに、彼女からお金取るわけないでしょってことですよ」

律儀で、真面目で頑固で。
大切な俺の彼女。

「俺、本郷さんと付き合えてかなり舞い上がってるんで…。特別扱いさせてください」

訪れた沈黙とは裏腹に、先程歯止めをかけたはずの衝動が再び湧き上がってくる。

再び視線が交わると、小さな彼女の手を握った。

彼女に触れたい。
身体中の全てで貴女が好きなんだと伝えたい。

脳はやめろと警笛を鳴らし続けているのに、抗えない何かに少しずつ突き動かされていく。

その時、
俺の手の中で小さな手が一瞬、震えるように動いた。
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