素直になれない夏の終わり
「新しいのって?バスタオル、そんなに何枚も持ってないけど」
「何枚もって言うか、一枚しか持ってないよね、なっちゃん。洗い替えがないなんてビックリだったよ」
洗濯した時どうしてたの?と聞かれたので、バスタオル以外のタオルなら何枚か持っていると夏歩は答える。
その答えに、津田は苦笑した。
「家に新品のやつが一つあったから、それ持ってきたんだ。なっちゃんにあげるよ」
「……て言うか、また勝手にひとのもの洗濯して」
やめろって言ったのに……と睨みつける視線で訴えても、津田は一向に動じないどころか、完全にスルーで
「今日の夕飯は、朝言った通りにトマトのスープスパゲティ作ったから。具はシーフードにしたんだ。だからほら、早くお風呂行ってきて」
せかされて仕方なく、夏歩は部屋を出てお風呂場に向かう。
脱衣所で服を脱いでいた時、くぅうう……と音がして、夏歩は慌ててお腹を押さえた。
バッと勢いよく顔を上げて出入口を確認。もちろん、そこに津田はいない。
聞かれていなかったことにホッとして、正直すぎる自分のお腹を睨みつけて、夏歩は脱いだ服をカゴに放り投げるようにして入れて、浴室へと続くすりガラスのドアを開けた。
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