素直になれない夏の終わり
「どっちにしようかな……玉子焼きか、肉巻きか」
「両方取ってもいいよ」
「夏歩ったら気前がいいわね。じゃあ遠慮なく」
美織がおかずを食べている間に、夏歩は貰ったサンドイッチをまずはまじまじと眺める。
「行列に並ばずしてサンドイッチを手に入れてしまった……」
大げさなんだから、と美織に笑われたところで、ようやく夏歩はサンドイッチを口に運ぶ。
パンはやはりふわっとしていて、あっさりめのマヨネーズであえてある玉子は、たっぷり入っていても全くくどくなかった。
胡椒がピリッと効いているのも、またいいアクセントになっている。
「美味しい」
「それはなにより。夏歩のお弁当も美味しいわよ」
その感想はとても複雑だ。
夏歩のお弁当とはすなわち津田が作ったお弁当なので、どんな反応をしていいものかわからない。
その為悩ましげな顔をしていたら、美織に呆れたように笑われた。
「まだ諦めてないの?鍵のこと」
「……そりゃあ、まあ。て言うか、諦めるなんて選択肢はないでしょ」