素直になれない夏の終わり

そんなこともないと思うけど、と美織は、スムージーを一口飲んでからサンドイッチを手に取る。


「世話好きな津田と、生活能力の低い夏歩って、結構お似合いだと思うけどね。生きていく上では、最高の組み合わせじゃない?」

「……津田くんがいなくたってそれなりに生きてこれたんだから、これからだって生きていけるよ。別に津田くんがいなくたって」


大事なことだから二回言ったら、またも美織に笑われた。


「まあ、夏歩がどう思ってようと、津田は諦める気がないんだからしょうがないわよね」


当事者の夏歩にしてみれば、しょうがないなんて軽く終わらせられることでもないのだけれど。
何しろ津田は諦めないだけでなく、根拠もない謎の自信まで持っているものだからタチが悪い。


「でも、なんだかんだ言ってたって、津田が諦めて別の人のところに行っちゃったら、案外夏歩は寂しくなるんじゃないの?」

「そんなわけないよ。むしろ、津田くんから解放された喜びでパーティー開いちゃう」


あらそう、と美織は苦笑する。

その笑みに何か含むものを感じたけれど、夏歩は何か言おうかどうか迷った末、結局何も言わずにお弁当に箸を伸ばした。




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