素直になれない夏の終わり
「おかえり、なっちゃん」
夏歩が玄関で靴を脱いでいると、津田が手に何かを持って部屋から出て来た。
「そしていってらっしゃい」
「……は?」
靴を脱ぎ終えたところですかさず持っていた鞄を取られ、代わりに津田が持っていたものを持たされて、後ろに回った津田にグイグイ背中を押されて前に進む。
「ちょっ、なに!」
抗議の声は無視されて、背中を押されるままに進んでいくと、誘導されたのはお風呂場の前。
そこまで来て、持たされたものに視線を落とすと、それは下着を含めた夏歩の着替え一式だった。
「っ!!ひとのクローゼット勝手にあさるなって言ったでしょ!」
「あさってないよ。そう言うと思ったから、乾いてた洗濯物の中から持ってきたんだから。はい、じゃあごゆっくりー」
「だったらいいってことにはならな――ってなにもう、押さないで!」
「くれぐれも、湯船の中で寝ないでよ」