素直になれない夏の終わり

コンコンと脱衣所のドアを軽くノックする音に、夏歩はビクッと肩を跳ねさせて、慌ててバスタオルを広げて体に巻きつける。

まだ下着はつけていると言うべきか、それとも既に下着しかつけていないと言うべきか、とにかくなんというタイミングで声をかけてくれているんだと、ドアを睨みつけずにはいられない。


「絶対に他の物には触らないでよ!」


はーい、と返事のあとに、遠ざかっていく足音が聞こえて、やがてドアの閉まる音がした。
それでようやく、夏歩の体からホッと力が抜ける。

いつ脱衣所のドアを開けられるかわかったものではないとビクビクしていたけれど、案外津田はその辺りをきちんとわきまえているらしい。

だからって、見直したりなんかしないけれど。



「なっちゃん……」


ほかほかと温まってさっぱりした体で部屋に入ると、その音に気づいて振り返った津田が呆れたように呟いた。


「拭き方が雑すぎるよ。もっと丁寧にさ」

「あーもう、煩い!」
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