素直になれない夏の終わり
「……えっ、ちょっと待って、乾かさないの?」
「取りに行くの面倒くさいし。そのうち乾くし」
いやいや、ダメだよなっちゃん、何言ってるの!と騒ぐ津田を無視して、あらかた拭き終えたタオルをハンガーにかけてハンガーラックに引っ掛ける。
それから定位置につこうと振り返ったら、いつの間にかすぐそこに立っていた津田に手首を掴まれて、コンロの前に強制連行された。
「えっ、は?ちょっと、なに」
「俺がドライヤー取ってくるから、代わりになっちゃん、ここでフライパン見てて。あと鍋も」
そう言い残して津田は、夏歩が何か言うより先に部屋を出て行く。
「えっ!?ちょっ!見ててって、言われても……」
取り残された夏歩は、二つのコンロの間で視線を忙しなく行ったり来たりさせる。
夏歩から見て右側には鍋が、左側にはフライパンがかかっていて、どちらもコンロには火がついている。
一応それぞれの蓋を開けて中を確認してみると、鍋の方には味噌汁が、フライパンの方にはキノコがどっさり入った醤油っぽい色味のソースのようなものが入っていた。