素直になれない夏の終わり

「わかった、練習しておくよ」

「二度とするなって言ってるの!」


聞いているのかいないのか、おそらく聞いていない方だろうけれど、津田はお椀を持ち上げて味噌汁を飲む。

そんな津田をムスっとしばらく睨みつけていた夏歩は、やがてその視線をハンバーグへと移した。


「ちなみにお弁当に入れる時は、ケチャップをかける予定だから。おかずカップを使っても、持って歩くのがなっちゃんだと餡掛けは心配だからね」


失礼極まりないと言うか、いい年をした大人がランチバッグをブンブン振り回したりするわけないだろうと言ってやりたかったが、口の中が先ほど入れたばかりのハンバーグで埋まっていたので、またしても睨みつけるだけに終わった。


「あとは何を入れようかな……あっ、ほうれん草の胡麻和えとかどう?それとも、ほうれん草はお浸しの方がいい?ああでも、お浸しは汁が怖いな……」

「私は小学生か!」


我慢しきれずに、夏歩は口の中が空になった瞬間に声を上げる。
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