素直になれない夏の終わり
「おかえり。混んでたの?」
「まあ、そこそこにね。個室が二つしかないのに、一つが占領されちゃってて実質一つしか使えなかったから」
夏歩が首を傾げると、「どこかの誰かが飲みすぎたんでしょ」と美織が返す。
ご迷惑おかけしてるのがうちの同窓会のメンバーじゃなければいいけど、とも続けて、美織は鞄を肩から下げてグラスを手に取った。
「じゃあ、ちょっと行ってくる」
「えっ、ちょっと待ってどこに!」
そのままさりげなく立ち去ろうとした美織を、夏歩は慌てて呼び止めた。
「向こうのテーブル。さっきお手洗いで会った時に誘われたの」
美織がグラスを持っていない方の手をあげると、三つ離れたテーブルでそれに応えるように手があがった。
「そう言うわけだから、向こうでちょっとお喋りしてくる」
「あっ、じゃあ私も行く!」
「なっちゃんが行くなら俺も行くー」
「……なんであんた達をぞろぞろ引き連れて移動しなくちゃいけないのよ」
呆れたように美織が呟くと、夏歩は津田を睨みつける。